高畑勲講演会レポート「映画を作りながら考えたこと」第41回小金井母親大会@東京学芸大学

(2014年3月2日、2015年1月1日のツイート)


 高畑勲の講演前に、『かぐや姫の物語』の音楽をピアノ演奏した持永貴子さん。東北復興支援のチャリティコンサートをやっている方で、親類が映画関係者。その方を通じて、講演の依頼を受けた。

 特定秘密保護法に反対する会を緊急に仕掛けてくれた人に感謝している。他にも、9条の会に参加しているが、実は呼びかけられて参加した。いつも受け身。

 高校の時の友達2人は参議院議員。1人は民主党、この前の参議院選挙で落選。もう1人は片山虎之助、自民にいたが維新の会に移った。会ったときに、「安倍は自民のなかでも突出している」と言っていた。安倍政権は経済がうまくいく期待感でもっている。駄目になったらおしまい。安倍政権は自民党の歴史のなかでも最悪。今までは、それでも様々な人がいてバランスがとれていた。
 
 詩人のまど・みちおさんが亡くなられた。NHKのTwitterがいろいろ出てくる番組で追悼特集をしていて、まどさんの戦争協力詩について触れていた。「あのまどさんでさえ…」「戦争だったから仕方ないよね」というようなコメントがあったが、ちょっと待ってほしい。
 『火垂るの墓』は反戦でもなんでもない。どうして日本が戦争に入っていったか。NHKは戦争に関していい番組をつくっている。日中戦争のとき、日本の国民に危機感はなかった。ワーワー騒いで浮かれていた。教職に就いている人、僕の父もたぶんそうだったでしょう。戦争に反対していた人もいたが、中国との戦争が始まってしまった以上、「勝ってくれ」というしかない。

 日本のアニメの得意技。普通の人がヒーロー。ダラダラしていて、どこで習得しているかわからない。状況もわかっていないのに、ダーとやっつけてしまう。観てる人は「あーよかった」と思う。これが、優れたお金の取れる映画の作り方。
 たまにそうじゃないのがあるが、宮崎駿の映画も大体そのように出来ている。僕の映画はそのようには作っていない。だから、(高畑勲の映画は)「冷たい」といわれる。

 一つになる、国家主義になるか社会運動になるか、その精神構造は同じ。

 靖国神社は変な神社。明治神宮もそうだけど、歴史が浅い。恨みを持って死んだ人がいると、タタリが怖い。だから、祭り上げて怨霊を味方にする。祟られるのがいちばん怖い。そういう観点からみると、靖国神社は変。西郷隆盛は靖国神社に入っていない、逆賊だから。沖縄で集団自決をした人々も祭られていない。ドイツは全部網羅している。

 日本は戦争になると、挙国一致して戦争に心が向かうようになる。反対意見を尊重する意識がアメリカより薄い。全体一致しかない。選択の余地がない方が好き。

 永瀬清子という岡山出身で詩を書いた人がいる。宮沢賢治の死後、通称・雨ニモマケズ手帳が入ったトランクを開けたその現場にもいた人だが、その人のある詩を朗読したい。

永瀬清子

一番近い相手

いつのまにか一番近い相手を
よろこばせたいのが日本人です
それが私です
だから、何で食うかが大切です
自分の手仕事で食うのが一番です
大工さんなどが一番です
(おおキリストもそうだったのだ)
頭で食うのはとても危険です
なぜならもし世の中が変わったら
自分が自分にたよって云う事がついできず
 云えば食えず
いつかもすぐれた詩人も詩で食っていたために
政府やまわりをついつい喜ばせ
それで戦争に組したのです
手仕事が一番です
お皿や壺をつくりたいです
草の柔らかい事は草のせいではありません
でもつい葉先が垂れるのです
それが心配です

(『春になればうぐいすと同じに』)


 この詩中でいわれている詩人は草野心平や高村光太郎のこと。現代の我々は頭で食っている。

 父親は農家出身。肥を運び、草を刈り、収穫は喜びだった。親の世代は、戦後の食糧難のとき、畑を耕して農作物をつくっていたが、土に触れること自体が支えになった。

 安倍政権は、10年後のことでなく1年後のことで支持されている。株式や為替。どうかしている。頭でしかやっていない。

 与謝野晶子が日露戦争のときに発表した『君死にたまふことなかれ』。すごい利己主義で戦後に流行った。でも、与謝野晶子はその後、戦争協力の違う詩を書いた。貫き通せたわけではない。このことは知っておいた方がいい。おのずとそうなってしまう。


夏目漱石 - 私の個人主義 2/6 夏目漱石 - 私の個人主義 3/6
夏目漱石 - 私の個人主義 4/6 夏目漱石 - 私の個人主義 5/6
夏目漱石 - 私の個人主義 6/6
 ノブレス・オブリージュ。夏目漱石の『私の個人主義』は今読んでも間違いない。さすが夏目漱石。

 男は子どもを産めない。保守的な考えで自民の人と一致するのは…と思うけれど、女性は子どもを産む性。性差がないような顔をしてはいけない。

 江戸時代、男も女も働いていたはず。サラリーマンの原型である侍はほんの少ししかいなかった。そういうのは明治以降に増えてきた。「かかあ天下」は関東だけのことでなく、女性の方が本当は強いんじゃないか。露骨に女性は男女平等を叫ぶけれど、女性も少しは手加減してほしい。

 映画は女性が行ってくれないとダメ。ファミリーレストランは女性ばっかり。女性は虐げられていない。文化は女性が担っている。男はお金を使わずに、図書館の無料閲覧室やいちばん安い喫茶店のドトールに行く。女性はずるい。政治家になっても得ではない。頭を押さえられているから出てこないというわけではないのではないか。女性は現実的。コレクターは男ばかり。1銭にもならない。馬鹿な男ばかりで観念に支配されている。
 これから女性は大変になってくる。男性がいるような安い喫茶店にいる女性も増えてきた。権力を手にして、いろんな多くの責務を、女性は引き受けていくようになる。

 専業主婦撲滅論というのがあったが、僕は否、専業主婦は大事ではないかと思う。今は男女ともサラリーマンになって、夜遅くまで働くようになっている。そうなると、社会的な活動は誰がやるのか。子どもを育てながら家庭に入ってもいいんじゃないか。夫婦ともサラリーマンだと、愚痴のこぼし合いになる。
 
 永瀬清子さんは主婦をやりながら詩を書いていた。すごいと思う。尊敬している。

 西洋の女性は自立していたわけではない。男尊女卑は日本だけではなかった。

 闘争ばかりやっている日本のアニメが多い。わけがわからない。

 最近はテレビっ子。『世界ふれあい街歩き』を見ていると、のんびりした爺さんや婆さんが映っている。

 99歳の新藤兼人が監督した『一枚のハガキ』は簡潔な傑作。

 『ホーホケキョ となりの山田くん』は、面白いものが出来たと思った。でも、ジブリ作品はご馳走でなくてはならない。「山田くん」はお茶漬け。

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