『山口智子×鈴木敏夫“話をする二人”』の内容&宮崎駿の次回作についての考察

(2011年8月3日~8月4日のツイート)

 『「フレデリック・バック展」開催記念トークイベント 山口智子×鈴木敏夫“話をする二人”』(司会:読売新聞・依田謙一)。バック展の記念イベントなのになんでこの二人なんだろう?と思いながらも、当選したのが勿体無いので行ってきた。
 
 『崖の上のポニョ』制作時の話。老人ホームのおばあちゃん達が、死んじゃったおじいちゃんやおばあちゃんのもとに行って、酒盛りをして踊りまくるという場面の構想があったが、それをやると映画の尺が20分伸び、ポニョと宗介の話が吹っ飛ぶので断念した(鈴木敏夫・談)。

 宮崎駿の今度の新作はですねえ…自伝なんですよ、と鈴木敏夫は言っていたが、誰かの自伝をもとにして映画をつくるのか、宮崎駿にとって自伝のような作品なのか、そのどっちなのか私は聴き取れなかったので明言できないが、後者だとすると『風立ちぬ』の映画化の可能性が大きくなったと私は思う(文字通りの「宮崎駿の自伝」はやらないでしょう)。

 『風立ちぬ』は宮崎駿が模型雑誌で連載していた、零戦の設計者・堀越二郎を主人公としたマンガ。作中で宮崎駿は飛行機の設計を映画の制作になぞらえて解説しているので、堀越二郎の設計技師としての生涯を、自分の映画人生と重ねて描いている節がある。だから、『風立ちぬ』を宮崎駿の「自伝的作品」といってもあながち間違いではない。

 戦時下、飛行機関連工場の役員をしていた父を持つ、宮崎駿の映画人生のラストが、日本航空技術の黎明期に活躍した飛行機の設計技師の話だとしたら、出来すぎではないだろうか。『コクリコ坂から』で息子が父と対峙したように、父もまた、その父親とその生きた時代と向き合うのだとすれば、期待せずにはいられない。

 宮崎駿の新作が『風立ちぬ』であると私は勝手に妄想していますが、全然違う映画になる可能性も十分あります(笑)。マンガ『風立ちぬ』については、拙ブログ(注、『戯論遊戯』)で以前詳しく書いたことがあるので興味がある方はどうぞ(■若者たちへの応援歌 宮崎駿『風立ちぬ』)。では、トークイベントの話に戻ります。

 宮崎駿の次回作の話。絵コンテが1/4描けたところで、ストーリーが横道にそれていっている。スタッフが鈴木敏夫のもとに「止めないと、できませんよ(映画が)」と言いにきた。でも、そのコンテを読むと、面白い。どうしよう(笑)。

 鈴木敏夫が加藤周一と会ったときの話。「浮世絵の春画を勉強すればいいよ」と言われた。春画は売れることがわかっているから、色をいっぱい使うことができた。だから、それだけ多様な表現が生まれたという。「NHKがやれば(春画を放送すれば)日本も変わるのになぁ」と加藤周一がぼやいていたらしい。

 映画『ホーホケキョ となりの山田くん』の話。フレデリック・バックは、高畑勲にとっての師匠。そのバック氏はアニメの絵を一人で描いている。高畑の「山田くん」のテーマは「ひとりの人が描いた線で映画をつくりたい」だった。芝居は色んな人にやってもらったが、線に関してはひとりの人に描かせた。

 「山田くん」の「芝居は色んな人にやってもらったが、線に関してはひとりの人に描かせた」の、その「ひとりの人」は、たぶん実線作画を担当した作画監督・小西賢一のことだと思う。

 高畑勲の新作の話。いまやっている「かぐや姫」の話は、「山田くん」が終わった直後(2000年頃)から考えていた。途中で『平家物語』を映画にしようと思っていた時期もあって、『鳥獣人物戯画』風の筆で描いたような線で表現しようとしていたが、でもそれは諦めてもらった(鈴木敏夫・談)。

 バック氏の『木を植えた男』を観て、宮崎駿はもっと「絵を描きまくろう」という風に影響を受けた。現に「ナウシカ」では4万8千枚だった作画枚数が、「千尋」では 14万5千、「ポニョ」では17万5千になってる。今度やろうとしている宮崎駿の新作にかかる作画枚数をこの前計算してみたら、25万枚だった(鈴木敏夫・談)。

 『風の谷のナウシカ』作画枚数56,078枚。『千と千尋の神隠し』作画枚数112,367枚。『崖の上のポニョ』作画枚数170,653枚。「千尋」の枚数を『もののけ姫』の144,043枚と勘違いしたんだろうけど、鈴木敏夫の言っていた数字は帰宅後調べてみたら、だいたい合っていた(作画枚数のデータは、『スタジオジブリの歌』のブックレットから)。

 フレデリック・バック展について。バック氏は『木を植えた男』に辿り着くまでに色んな絵を描いている。その途上でブリューゲル、ある時にはシャガール、それに『北斎漫画』にも影響を受けている。このような影響のもとを想像しながら観ると面白いかもしれません(鈴木敏夫・談)。

 昨日のトークイベントで、鈴木敏夫が宮崎駿の新作は作画枚数25万枚かかると言っていたが、まだ絵コンテが完成していない状態でその数字をどこまで信用していいかはわからない。でも、「ポニョ」の枚数を参考にして計算してみたら、2時間27分ぐらいの作品になると算出できた。とりあえず2時間超えは確実か。

 これまでのジブリ作品で2時間超えの作品は『天空の城ラピュタ』(124分)、『もののけ姫』(133分)、『千と千尋の神隠し』(124分)の3つ。宮崎駿の今度の新作が『もののけ姫』の2時間13分を超えるのだとすると、ジブリ史上最長の超大作になる可能性もあるってことか。まだ気の早い話だけど。


「フレデリック・バック展」で山口智子&鈴木プロデューサーが対談!!『崖の上のポニョ』での山口の起用理由は息継ぎの仕方? -シネマトゥデイ-
 修行僧みたいな格好の鈴木敏夫。バランスをくずして、よくイスから落ちなかったな、と感心した(笑)。


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