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『トトロの生まれたところ』を読む。

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宮崎駿監修『トトロの生まれたところ』[岩波書店]
草花イラスト/宮崎朱美 トトロイラスト/宮崎駿
編集/株式会社スタジオジブリ出版部
発売日:2018年5月29日 価格:1,296円(税込)

『トトロの生まれたところ』P.2~3
『となりのトトロ』(1988)構想の最初期、
1975年に宮崎駿監督が描いたイメージボード2点を掲載。
【1枚目】傘を差した小さな女の子がバス停でお父さんを待っている。
そこに大きな葉っぱを頭にのせたトトロ(?)がやってくる。
【2枚目】ネコバスがトトロを乗せてバス停を去るところだが、
頭部が車体と同化しまるで富士サファリパークのバスと化していて、
鳥居のマークが描かれたプレートを前方下部に付けている、
脚の数は多いが短足、それに妖怪共を乗せている、奇妙なネコバスである。
トトロも影なのか真っ黒でよくわからない姿をしている。
「1枚目」のトトロは外灯の光を半身浴びていて、
毛で覆われているらしいことが、かろうじてわかるが、はっきりとしない。
『めいとこねこバス』で登場するトトロモドキに似ていると思った。


【ジブリ美術館短編映画『めいとこねこバス』(2002)パンフレットより】

『トトロの生まれたところ』P.4
【岩波書店特設ページ】にも掲載されている
鈴木敏夫プロデューサーによる「はじめに」。
宮崎駿監督がこう語っていたそうだ
「かみの山の開発が始まる。それを何とか食い止めたい」
「所沢に住んでいなければ、『トトロ』は生まれなかった」


『トトロの生まれたところ』P.5
「もくじ」であるが、本の「構成 宮崎敬介」とある。
宮崎駿監督の次男で版画家である宮崎敬介氏で間違いなければ、
宮崎家ほぼ総出でこの本の出版に関わっていることになる。
(※宮崎吾朗監督の名前は見当たらない)

『トトロの生まれたところ』P.6~9
西武池袋線の秋津駅から所沢駅の間、
線路沿い、車窓からも見える「かみの山」紹介。

「上安松に近い崖には、
 1300~1400年前の古墳時代に
 作られた横穴古墳があり、
 太平洋戦争のときには、兵士が軍服や
 ガソリンなどの軍の備品を隠していた
 という話も伝えられている

【監修 宮崎駿】を感じさせる豆知識。

『トトロの生まれたところ』ブックカバー袖
「秋津から、かみの山を望む」写真。
反対側ブックカバー袖には、
きれいな夕焼け空「夏の終わりのかみの山」写真を掲載。

「かみの山」の周知とその雑木林の保全が、
『トトロの生まれたところ』出版の主目的のように思われる。
ちなみに「かみの山」写真の撮影にも宮崎敬介氏は関わっている。

『トトロの生まれたところ』P.10~51
本書全体の半分のページを占める、
宮崎駿監督の奥さん、宮崎朱美さん(元アニメーター)が所沢周辺の
四季折々の草花や木々を描いた「ふるさとスケッチ日記」。
「春・夏・秋・冬」それぞれの項目に分かれていて、
宮崎朱美さんのコメントから絵を描いた場所がわかる所もあり、
P.78~79「トトロの生まれたところMAP」(絵 宮崎朱美)を頼りにして、
「トトロの生まれたところ」である所沢周辺の雑木林を散策しに行きたくなる。

「ふるさとスケッチ日記」の水彩で色付けされた絵は、
ささやかでいて、とても感じが出ている素敵な絵だ。
八国山の雑木林で朱美さんが描いた「ヤマツツジ」の絵を見ていて、
『Totoro Forest Project Book』に掲載されていた花の写真を思い出す。
それでようやく知る。「この花の名前はヤマツツジだったんだ…」


『Totoro Forest Project Book』(2008)より】

『トトロの生まれたところ』P.52~55
狭山丘陵の東端にある「八国山」に
宮崎駿監督に誘われて1回、
そのあと自分で2回、合計して3回訪ねた、
鈴木敏夫プロデューサーによる「八国山」ガイド。
「宮さんが案内してくれたのは
 まるで“神さまの住処”のような場所だった」


「八国山」で撮られた写真と写真のあいだにインサートされる
カメラを構える鈴木敏夫プロデューサー。ユニークな構成で面白い。


『トトロの生まれたところ』P.56~75
宮崎駿監督インタビュー。『となりのトトロ』イメージボード15点掲載。

「(宮崎駿監督が30代だった)当時、ぼくは自分で
 レイアウトという新しい仕事を切り開いていたのですが、
 このまま生涯レイアウトをやっているのは嫌だと思っていて、
 どこかで自分のお金でもいいから1本、
 「これが俺が作りたかったものだ」というものを
 作りたいと思って、そっと置いておいたのがこの企画だったんです。
 いい企画かどうかよりも、自分がこれをやってみたいと
 本当に思った作品が、たまたま『トトロ』だったということが、
 ぼくにとって大きな幸運でした。だから簡単に使わなかったんです。
 別の企画に半分織り交ぜちゃうとかはしないで、しまっておいたんです」



【ジブリ美術館企画展示「アルプスの少女ハイジ展」パンフレットより】
まさにまだ30代だった宮崎駿監督が高畑勲監督(演出)のもとで
全52話すべてのレイアウトを描きあげた『アルプスの少女ハイジ』(1974)
宮崎駿監督がその「ハイジ」制作当時を振り返って描いた漫画(2005)。
1コマ目の欄外に「コレまちがい草の土手だった!!」と書いてある。
「ハイジ」制作当時の職場は多摩。後年「トトロ」のロケハンで行ったら、
護岸工事されていて風景が変わってしまったことにショックを受けたらしい。
その時に上書きされた記憶によって護岸された川を描いてしまったのだと思う。

『トトロの生まれたところ』P.80 巻末
宮崎駿監督の「著者紹介」の下に
宮崎朱美さんの「コメント」が掲載されている。全文引用する。

「所沢に住んで50年近くになります。
 もし私たちがこの土地に住まなかったら、
 トトロと友だちになることも、
 映画『となりのトトロ』もなかったでしょう。
 所沢に住んだからこそ、
 雑木林や草花を知ることができ、
 身近に畑を見ることができました。
 そしてこうして描くことの楽しさも教わった気がします。
 この環境がずっと続いていくことを願っています。」


『となりのトトロ』を生み出した宮崎駿監督と宮崎朱美さんの強い願いが
『トトロの生まれたところ』という本を誕生させたに違いない。

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「種まくトトロ」下絵:宮崎駿 木口木版画:宮崎敬介
【スタジオジブリLINE公式アカウントより】

追記.
『トトロの生まれたところ』刊行記念
特製ポストカード プレゼントキャンペーン - 岩波書店


『トトロの生まれたところ』<岩波書店>刊行記念
『トトロの生まれたところ』特製ポストカード(3枚1セット)


『トトロの生まれたところ』特製ポストカード〈緑トトロ〉表

『トトロの生まれたところ』特製ポストカード〈緑トトロ〉裏
「砂川の小さな流れに沿った河畔林(かはんりん)」
(『トトロの生まれたところ』P.12~13)


『トトロの生まれたところ』特製ポストカード〈紫トトロ〉表

『トトロの生まれたところ』特製ポストカード〈紫トトロ〉裏
「ウマノスズクサ」(『トトロの生まれたところ』P.28~29)


『トトロの生まれたところ』特製ポストカード〈赤トトロ〉表
「イボタノキ」(『トトロの生まれたところ』P.38)

『トトロの生まれたところ』特製ポストカード〈赤トトロ〉裏
「ムラサキシキブ、シオデ、ヒヨドリジョウゴ
 リンドウ、オトコヨウゾメ、アキノウナギツカミ、
 ミゾソバ、ノハラアザミ、ウメモドキ、ガマズミ」
(『トトロの生まれたところ』P.38~39)

【レポート】「トトロのふるさと基金」25周年記念イベント
■まだ風は吹いているか 長篇引退作品 宮崎駿監督『風立ちぬ』

宮崎駿監督「長編最新作」に触れた
鈴木敏夫著『ジブリの文学』の「あとがき」を読む。


西岡純一広報部長に訊くスタジオジブリの現状


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